| 透過光
昨夜からの雨の所為 濁流は怒号をあげて走り続ける
あんなに暗い空が もう 嘘のように開いて
雨上がりの匂いに 意識が眩んで
鈍色のうねりに飛び込むと 息もせずに身を伏せた
肌をさす冷気も 流れにのまれると
やけに心が落ち着いて 目を閉じた
おまえはこんな激しい雨上がり 樹木の表皮がどんなに優しいか
樹々とその葉に宿る露を抜ける透過光が どんなに美しいか知っているか
醜態を曝す低空の占領物でさえ 水面ではどんなに綺麗な事かを
毎日は誰にというわけでもなく穢されて 悲鳴も届かない
生き続けていれば それだけ傷ついてゆくが
不意に わけもわからぬ哀しみと孤独に襲われる
それは失望であるのか 切なさだったのか
もし言葉に出来るのならば
こんなに苦しまず こんな愚かな真似をせずに 済んだのだろう
鳴り響く叫びにも似た流れも 身を凍らせる冷たさも
何故か心地よく
眠りに落ちる時より あたたかかった
流れに身を委ね 目を閉じれば
もう なにも脅かすものはないんだ
歪みゆく世界に 理由(わけ)もわからぬ 抗いを
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