| HOUR OR TIME?
やがて過ぎゆく時を越えて 僕は巡りあう 遠く遙か 際限なく進みゆく
それは崩壊という道への標 再び生まれるための唯一の術
浄化を齎すもの それは哀しみの下僕
涯てを見定めようもない人の子よ
消え去るのは 鎖された生命の灯火だけなのか
瞳を伏せていても 眩さは透過するほど強く
己が身を 自ら束縛する意識に震え
暁を見る度 残りの命を数えた
僕を拒絶する都会は こんなところに想いの墓標を立てるのだ
いつか それさえも朽ち果てるのを知っていながら
昏く燃えている晨(あした) 遠ざかるのは誕生の証だったのかもしれない
求めていたものが 手に入らないと知り
忘却を選んだ それが逃げだとしても
佇むもの 立ち尽くすもの
地に伏せた身体を起こし 揺れる髪が落とす影を感じた
彷徨うように悲哀の戸口に訪れるのは 純粋なる絶望の夜明けである
夢見る事を恐れる子らよ 気づけよ今
渇望するものが ただ漠然とした未来ではないのだと
手を伸ばすのを躊躇うのは
届かないと 思い知らされるのが怖いから
目を伏せるのは 目を開けていても見えない事が 恐いから
眩む意識は遠ざかっていくのか わかるはずもない
僕のいる世界の上に 降りそそいでくる
崩壊の瞬間と ほの昏い晨の陽射し
何処までも続いてゆく 風と薄明のうた
どうして何も見えないのか
どうして 何も見ようとしないのか
知る術もないこの鼓動 感じられるのは微かな予兆
流れてゆく大きなうねりに 取り残されているのかもわからない
血に染まった大地の中から 僕が希望と呼ぶものが花開く
薄暗い風籟(ふうらい)が空気を彩り 目を閉じた廃墟の姿を霞ませる
僕の視界を奪う ただ 祈りだけを残して
抗いは何に対しているのか 僕の望むもの 臨むもの
流れていく 過去の記憶と記録のすべてを掠めて
不安に濡れる天空は 限りない叫びと嘆きを伝えた
ここに生きている者達よ 地に触れ その血を注いでゆけ と
例えラッパを吹き鳴らす告死天使(アスラフィル)達がいなくとも
地上に住む者達が 滅びを内包しているのは明らかなのだ
僕達の運命という星の軌道が 決して逸らされる事はないように
だからただ 空を仰いだ
廻り続ける大地の上に 光が射しているのを感じるために
夜明けを知るのは 崩壊を見つめる誕生の予感と記憶という歴史
風が吹く度 歪む景色に溺れ
青く煙る白昼夢の中を歩んできた 数々の思い出を背負って
捨て去るものは 抱き続けた幾つかの感情
崩れ落ちるように眠り 暁を見た この地上の上で
探すだろう 捜すのだろう 生きてゆく術と存在の証を
流れるものすべては 僕の身体を透過する
それが 自分自身の非情の来歴である
地上で覚醒する夢は やがてくる滅びを知るだろうか
ひとつの生命が芽吹くとき すべてはその瞬間から死を迎える
誕生は 死に向かって歩みはじめ
尽きせぬ安息という彼岸への思いを 静かに祈り続ける
僕が仰ぎ見た空が 暗い光にみちあふれ
晨の目醒めを促しているのなら
無言のうちに響くこの世界の重い鼓動を 僕は信じるだろう
流れ落ちる砂の中に 僕は 僅かばかりの未来を求めるだろう
そして その流れが途切れない事を 願って止まない
遠くから訪れる僕達の運命が 僕自身を弄ぼうとも
目前に突き立てられた墓標が 僕の名を刻もうとも
世界を廻す力を 放棄したりはしない
それでも ひとつの約束として成り立っている時間という存在に
人はいつも振り回されているから
茫洋さに翻弄されぬようにと 時を区分して掌握しようとしながら
結局 人は皆何処かの街の片隅に 己の墓標を刻んでいるのだ
限りなく循環する流れを塞き止めて
奪い取る術など最初から 持ち合わせてもいないのだから
進み 流れゆく時の前に 人は誰も無力であるのか
黯い雲間から光の角度を変え すべてを染めてゆく日々の暮らしは
荒廃の音を響かせている 幾つかの祈りの言葉の中に
穢れに濡れたひとひらの花びらを隠して
生まれ出ずるのだ この昏い大地の上に この揺らめく幻想の中に
すべてを失くし すべてを憶えてゆくために
もう一度 誕生の予感を終局の美醜と感じるために
時の流れの前に、人は 常に盲目であろうか……
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